透明草子

百鬼夜行からはぐれてしまったので、仕方なく人間に擬態している

2020-01-01から1年間の記事一覧

今までの生活①

1998年東京生まれ。 これは、世界のさまざまな場所で、52Hzと呼ばれる孤独なクジラの鳴き声が検出され始めてから18年後のことであり、村上龍の小説「歌うクジラ」においてグレゴリオ聖歌を歌うクジラから不老不死の遺伝子が発見される24年前のことだ…

無題

僕はいったいどこに向かっているんだろう立ち止まりたいと思っていても歩き出せずにいても時間はこころを置き去りに流れ、望んでもいない未来に押し流されていく。水の入ったビンの中で希望を失って沈むのを待つラットのように、僕は流されている。アルジャ…

短文

窓の外に手を伸ばしたときに触れる、雨雫の分子と手の皮膚の細胞。 もしもこの二つを作る原子うちのひとつとひとつが、宇宙のどこかで恒星が爆発した時に一緒に生まれた原子だとしたら運命的な再開だと思う。 そしてまたつたい落ちて離れていく。 誰かの傘を…

好きなものについて(加筆中)

好きなものについて そのうち個別により詳しい感想を書きたい ①小説 透明感があり孤独感や喪失感を滲ませる小説が一番好き ▶︎インディアナ・インディアナ(レナード・ハント) 砂が溢れるように掌から時間や温もりが溢れていく感覚。凍った記憶の数々が少しず…

夜食あるいは朝食

5/31早朝 サイケな街にいつか打ち込んだ無数の弾丸の薬莢が、雨に打たれてしおれている。 サイケな街は回り続ける。霧の向こうの島でネオンの躁鬱が躍っている。 UFOの形のラブホテルは、人間のエネルギーを吸い取って宇宙に戻っていくらしい。 隠されたアポ…

自分が目を閉じている間、世界は消えているんじゃないかと思う。 目を閉じて、開いて、閉じて、開いて。 自室の天井と、壁にかかった魚類図鑑のポスターを眺めている。 昨日は何をしていたっけ 迫りくる氷の塊を避けながら、深海へと潜っていった。そういう…

僕は防波堤の上に立っている。 海の向こうでは巨大な入道雲をかきながらクジラか飛行船かよくわからないものが水面に影を落とし、そこが長い長い夜になったのでオウムガイ達は水面近くに集まってきたに違いない。 私は何かを待っている。しかし何を待ってい…