透明草子

百鬼夜行からはぐれてしまったので、仕方なく人間に擬態している

短文

窓の外に手を伸ばしたときに触れる、雨雫の分子と手の皮膚の細胞。

もしもこの二つを作る原子うちのひとつとひとつが、宇宙のどこかで恒星が爆発した時に一緒に生まれた原子だとしたら運命的な再開だと思う。

そしてまたつたい落ちて離れていく。

 

誰かの傘をさしていく罪、子供の指を折る罪、紫陽花の色を滲ませる罪、轢かれたミミズのために祈る罪、生まれてきた罪。